静的サイトは、公開リンクを作っただけでは終わりません。むしろ知りたいことは、そのあとに出てきます。
リンクは開かれたのか。どこから来たのか。トップページではなく、特定の下層ページが見られていないか。スマートフォンで開かれているのか、PCで見られているのか。画像、PDF、動画、フォントが思った以上に帯域を使っていないか。
最初から大きなアクセス解析環境を作る必要はありません。公開直後の静的サイトには、まず公開リンクの反応を読むための統計があれば十分なことがあります。

そのサイトで何を確認したいのか決める
アクセス解析は、目的があいまいなまま見るとすぐに散らかります。
静的サイトは、Webアプリより目的がはっきりしていることが多いです。ポートフォリオサイト、オンライン履歴書、授業課題、ランディングページ、クライアント確認用ページ、ドキュメント更新、AI生成サイトの試作など、最初に見たい数字はそれぞれ違います。
| サイトの種類 | 最初の確認ポイント | 優先して見る数字 |
|---|---|---|
| ポートフォリオサイト | 相手が本当に開いたか | 訪問者、流入元、上位ページ、デバイス |
| ランディングページ | どの配信元から来たか | 流入元、UTMリンク、上位ページ、国・地域 |
| オンライン履歴書 | 採用担当者が見やすい環境か | デバイス、ブラウザ、上位ページ |
| クライアント確認 | 最新版のリンクが開かれたか | 最近のアクセス、国・地域、デバイス、ページ |
| 授業課題 | 学外から開けるか | アクセス数、ブラウザ、外部アクセス |
| 画像やPDFが多いページ | ファイルが重くなっていないか | 帯域、上位ページ、ファイルサイズ |
数字を先に決めるのではなく、サイトの用途から確認ポイントを決めます。そうしないと、折れ線グラフを眺めても次の作業が決まりません。
アクセス数と訪問者を分けて読む
アクセス数やページビューは、ページが読み込まれた回数です。訪問者数は、どれくらい別々の人やブラウザに届いたかを見るための目安です。
この2つは似ていますが、同じではありません。
公開直後は、自分、チーム、クライアントが何度も再読み込みします。そのためページビューだけを見ると、実際より反応が大きく見えることがあります。逆にアクセス数は多くなくても、複数の流入元や別々の国・地域から来ているなら、公開先としては意味のある反応かもしれません。
| 指標 | 何を見るのに向いているか | 読み間違えやすい点 |
|---|---|---|
| アクセス数 / PV | ページがどれくらい開かれたか | 再読み込みや確認作業を反応と見なす |
| 訪問者 | だいたいの到達範囲 | 正確な人数だと決めつける |
| 上位ページ | 実際に見られたURL | トップページだけを見て下層ページを見落とす |
| 帯域 | 画像やPDFを含む転送量 | アクセスが増えてから重さに気づく |
ツールによって言葉は変わります。Google Analytics 4 では page_view がページ表示時に送られるイベントです。Plausible や Cloudflare Web Analytics のような軽量なツールでは、ページビュー、訪問者、流入元、国・地域、デバイス、ブラウザなどがまとまって表示されます。
DeployPages のプロジェクト統計では、ページビュー、推定訪問者、帯域、上位ページ、参照元、国、デバイス、ブラウザ、OS、最近のアクセスを確認できます。公開直後の静的サイトなら、この範囲で最初の判断はかなりできます。
流入元は、配った場所が合っていたかを教えてくれる
小さな静的サイトでよくある失敗は、ページの中身ではなく配り方です。
リンクをSNSに置いたのか、メールで送ったのか、QRコードにしたのか、プロフィールに入れたのか。流入元を見ると、どこで見つけられているのか、またはどこでも見つけられていないのかが分かります。
| 状況 | 考えられること | 次にやること |
|---|---|---|
| direct が多い | メール、チャット、QRコード、コピーされたURL、参照元なし | 次回はUTMを付けて共有する |
| SNSからの流入が多い | 投稿や再共有が効いている | 上位ページとデバイスを一緒に見る |
| 検索から少し来ている | 元の共有範囲を超えて見つかり始めている | title、description、独自ドメインを確認する |
| 社内やクライアントのドメインが出る | レビューのアクセスがある | 公開キャンペーンの反応と混ぜない |
| 不自然な参照元がある | botやノイズの可能性 | その数字だけでページを直さない |
複数の場所で同じページを共有するなら、UTMを付けておくと後で読みやすくなります。DeployPages の UTMリンクビルダー を使えば、source、medium、campaign をそろえてURLを作れます。
完璧な計測にする必要はありません。あとから「これはどこに貼ったリンクだっけ」と迷わない状態にすることが大事です。
デバイスとブラウザは、次にテストする場所を決める材料
静的サイトはPCで作られ、スマートフォンで開かれることがよくあります。
デスクトップでは整って見えるポートフォリオのグリッドが、スマートフォンでは長いスクロールになる。ランディングページのボタンが小さな画面では見えにくい。オンライン履歴書がPCのChromeでは問題なくても、iPhoneのSafariでは余白や文字サイズが詰まって見える。
デバイス、ブラウザ、OSの統計は、デザインの正解を自動で出すものではありません。次にどこで確認すべきかを教えてくれます。
訪問の多くがスマートフォンなら、まず本物の公開リンクをスマートフォンで開きます。iOS Safari が多いなら、画像、動画、タップ領域、フォントサイズをそこで見ます。クライアント確認が古いデスクトップ環境から来ているなら、余計なアニメーションや複雑な操作を減らした方がよい場合があります。
「モバイル対応が大事」という一般論より、このサイトが実際にどこで見られているかの方が役に立ちます。
上位ページは思い込みを崩してくれる
公開した側はトップページを入口だと思っていても、見る側は別の入口から来ることがあります。
SNSで下層ページが直接共有される。QRコードがイベント用のパスを指している。古い資料に以前のURLが残っている。検索エンジンが特定の記事を先に見つける。AI生成サイトの中に、確認していないテスト用パスが残っている。
上位ページは、特に次のタイミングで見てください。
- 新しいバージョンをアップロードしたあと。
- 公開リンクから独自ドメインへ切り替えたあと。
- GitHub Pages、古いポートフォリオ、ドキュメントサイトから移したあと。
- SNS、メール、QRコード、広告で別々のURLを使ったあと。
index.html、ナビゲーション、画像やダウンロードのパスを変えたあと。
トップページ以外が見られていること自体は悪くありません。そのページの方が入口として強い可能性もあります。問題は、古いパス、壊れたダウンロード、未完成のページが上位に出ている場合です。
帯域はあとから効いてくる
帯域は、アクセス数ほど目立ちません。ただし静的サイトでは、運用コストや表示体験に直結しやすい数字です。
大きな画像、PDF、動画背景、重いフォント、デザインツールから書き出したままの画像は、最初の数人が見るだけなら気になりません。SNSで共有される、採用ページに載る、QRコードで配る、広告から流すといった段階になると、急に効いてきます。
次のようなページでは帯域を見ておく価値があります。
- 写真、作品画像、商品画像が多い。
- PDF、メニュー、資料、スライドを同じサイトで配っている。
- キャンペーンやイベントで短時間にアクセスが増える。
- プランの利用量が気になり始めている。
- モバイルからの閲覧が多い。
帯域だけでは、どのファイルが重いかまでは分かりません。合図として使います。画像サイズ、圧縮、lazy loading、不要な動画、フォント、PDFの置き方を確認するタイミングです。
まず内蔵の統計、必要になったら専用ツール
Google Analytics、Plausible、Matomo、Fathom、Simple Analytics、PostHog などには、それぞれ向いている場面があります。ただ、静的サイトを公開した最初の時間に、すぐ本格的な解析環境が必要とは限りません。
公開直後の問いは、もっと小さいことが多いです。
- リンクは開かれたか。
- どこから来たか。
- どのURLが見られたか。
- スマートフォンとPCのどちらが多いか。
- 想定していた国や地域から見られているか。
- 帯域はおかしくないか。
この段階では、公開サービス側の統計が最初の確認に向いています。静的ファイルに別のスクリプトを追加しなくても、アップロードしたプロジェクト単位で反応を見られるからです。
一方で、ボタンのクリック、フォームの途中離脱、A/Bテスト、広告の詳細な成果、ログインユーザーの行動、ECのイベントなどを見たいなら、専用の解析ツールを計画して入れる方が自然です。
2つの役割を混ぜない方が分かりやすいです。DeployPages の統計は「公開したサイトが見られているか」を見る場所。プロダクト分析ツールは「見た人が何をしたか」を深く見る場所です。
プライバシーと外部スクリプトの扱いは確認する
日本向けの公開サイトでも、アクセス解析はプライバシーポリシーやCookieの説明と切り離せません。
どのツールを使うか、Cookieや類似技術を使うか、IPアドレスや端末情報をどう扱うか、外部送信があるか。これらはサイトの用途、利用するツール、掲載する地域によって確認が必要です。
DeployPages の統計は、公開リンクの初期反応を見るための軽い層として使えます。ただし、それだけで法務確認が不要になるわけではありません。追加で Google Analytics、広告タグ、ヒートマップ、チャット、外部フォームなどを入れる場合は、プライバシーポリシーやCookie表示も合わせて確認してください。
ここを大げさに書く必要はありません。ただ、公開前に見落とすと後から直しにくい部分です。
公開後1週間の見方
静的サイトの統計は、毎時間見るものではありません。最初の1週間だけ、いくつかのタイミングで確認すれば十分です。
| タイミング | 見るもの | 理由 |
|---|---|---|
| 公開直後 | ページが開くか、404やパスの問題がないか | 共有が広がる前に直す |
| 1日目 | 流入元、デバイス、上位ページ | 配り方と表示環境が合っているか見る |
| 1週間後 | 推移、国・地域、帯域、継続して見られるページ | 改善するか、残すか、次の施策を決める |
| 新しいバージョンのあと | 上位ページと最近のアクセス | 有効だったURLを壊していないか見る |
| 独自ドメインのあと | direct、検索、古いURL | 公開リンクから正式URLへ移れているか見る |
このくらいの軽さが、静的サイトには合っています。数字を見る目的は、ずっと分析することではありません。次に直す場所を決めることです。
DeployPages での位置づけ
DeployPages では、統計を公開フローの一部として扱います。
HTMLファイル、静的フォルダ、ZIP、フレームワークのビルド出力、AI生成サイト、PDFを含むページを公開し、そのあとプロジェクト画面でアクセス数、訪問者、流入元、上位ページ、国、デバイス、ブラウザ、OS、帯域、最近のアクセスを確認できます。
同じプロジェクトで、あとから 独自ドメイン、パスワード保護、以前のバージョンに戻す操作、CLI公開、統計 へ進めます。
最初に必要なのは、重い解析環境ではないかもしれません。まず公開リンクを作り、実際に見られているかを確認し、そのうえで独自ドメイン、改善、専用のアクセス解析ツールへ進む。この順序の方が、小さな静的サイトには合うことが多いです。